イギリスで、皆には担当総合医師がいる。つまり、特定された医師に属して、病気になったら、先ずその医師に受診する。専門医師に受信するために、先ず担当総合医師の紹介は必要だ。
夏、イギリスにいた間に真由喜には病気があったので、病院に行ったが、受付で「担当総合医師の名前と住所を書いてください」と言われた。
「そのような人はいません。」
「いいえ、総合担当医師に治療の内容を伝えるのは重要だから、書きなさい。」
「担当総合医師は日本にはいない。」
「では、担当する医師の名前を書きなさい。」
「いません。日本の制度は違います。そのような役割に相当する医師は存在しません。」
やっと納得してもらったが、制度の違いで暫くの間事務の人が戸惑った。
この制度には利点は多いと思う。第一は、病気になったら迷う必要はない。担当総合医師に受信する。(緊急の場合、総合病院の緊急治療を受けるが、その場合でもすぐに担当総合医師に連絡する。)今の病気は内科、外科、皮膚科、整形外科などを決める必要は一切ない。一般の人は医学の素人だから、決めるための知識はないのは当然だから、大きなメリットだと思う。
そして、すべての病気が同じ医師の担当になるので、明らかではない問題に気づく可能性が高くなる。旅先で病気になったら、当地の医師が担当総合医師と連絡をとったら、説明を受けることはできる。(もちろん、患者の同意は必要だ。)そして、専門医師の診察を受けると、拝啓の説明も伝わるはずだし、無駄な診察にもならない。
問題は、担当総合医師が足りないことだ。それはイギリスのNHS(国立保健期間)の予算は足りないからだから、解決できる問題であるに違いない。その結果、受診するために2週間待つこともあるし、予約受診しかできないが、予約を取るために受付開始の時点では電話をかけなければならない。そして、受診する場合、10分以内になる。平均的には良いかもしれないが、なかなか足りない場合もあるそうだ。
確かに、イギリスの制度をそのまま日本に導入するのは難しい。先ずは、イギリスの医師のほとんどは事実上国家公務員である。つまり、厚生省から直接に給与が払われるし、国の職員である。(制度上、「国家公務員」とは言わないような気がするけれども。)日本では、病院は民間の施設で、国民健康保険などから費用を請求する制度だから、それを保って担当総合医師を導入した方が良いと思う。(イギリスで同じような制度を導入しようとしているが、「民営化」のレッテルが付けられ、反発が呼ばれる。)
例えば、イギリスのように強制的に一人の担当総合医師に属させるではなく、その選択肢を自由にして、促進した方が良い。そして、行政が担当総合医師に相応しい医師を認可して、専門医師の受診料を紹介なしに補給しないなどの政策は可能だ。イギリスで、歯科と眼科は例外だが、日本では定期検診を受けるべき医師を前線としたら良いだろう。だから、総合担当医師で健康診断を受診して、歯科や眼科で検診を受ける。歯科は一般に必要だろうが、眼科はまず担当総合医師の紹介になるのだろう。
詳細は、有識者が決めるべきだが、最初の診断責任を素人の患者から医師に移すのは良いと思うので、このような制度は日本にもあると良いと思う。