スコットランドの独立を問う国民投票

イギリスで国民投票が終わったばかりだ。今のところ、結果発表を待っている。投票では、一つの質問しかない。

「スコットランドは、独立になるべきですか」

答えは「はい」と「いいえ」。

簡潔で、分かり易い。それに、イギリスの政府がこの投票の結果を実現することを誓った。つまり、結果は「はい」であれば、イギリスが分裂する。分裂が実現されると、2016年3月に新しい国が生まれるし、「イギリス」という国が亡くなる。

世論調査によると、結果は予測できないそうだ。拮抗になっているという。

この投票を理解するために、背景は必要である。

2000年前、ローマ帝国がイギリスの過半数を制圧したが、北部は帝国の外だった。「ヘイドリアン壁」という万里の長城が築かれ、帝国は南部に限られた。そして、アングルとサクソンという人類がイングランドに流入しても、スコットランドに殆ど行かなかった。1100年前にイングランドが一つの国として纏まった時点で、ウェールズもスコットランドも別な独立な国だった。ウェールズは、13世紀末に戦争の結果でイングランドと合併させられたが、スコットランドはまだ独立していた。イングランドと同じように、近世国家に発展した。

そして、400年前に、イングランドのエリザベス一世が死んだ。エリザベス一世は処女女王として有名であった通り、子供はいなかった。そして、跡継ぎは、スコットランドの国王だった。だから、スコットランドの国王がイングランドの国王になった。しかし、この時点では国はまだ別々だった。

300年前、両国が合併した。事実上、イングランドがスコットランドを征服した。反発がすぐに起こった。次の50年には、二回にわたり大規模な反乱が起きたが、イングランドには勝利があった。

その後でもスコットランドの文化がイングランドの文化と違っていた。言語は英語になりつつあったが、法律の違いが残ったし、アイデンティティとしてスコットランド人であることを誇った。18世紀の文明に大きく貢献できた人もスコットランドには少なくなかった。イングランドとの関係を惜しんだ人もいなくならなかった。

そして、50年ぐらい前にスコットランドに近い北海に油田が発見された。その石油の収入は、スコットランドにも流れたが、大半が南へ流出したとの気持ちもあった。

この地方感が依然として強くて、十年ぐらい前にロンドンにあるイギリス政府がウェールズやスコットランドには議会を与えた。この議会には、税や福祉、教育を管轄する一部の権限を与えた。両方の議会には、地方民族を強調する政党が強くなった。そして、数年前のスコットランドの選挙で、スコットランド民族党が独立過半数を獲得した。即座、独立を問う国民投票に向けて準備を進めた。

つまり、昨日の投票は、長い歴史に基づいている。スコットランドはイングランドの一部ではないのは、イギリスでは誰でも認識している。しかし、イングランドの人口はスコットランドの人口を大きく上回る(数倍である)ので、イギリスの国会ではスコットランドの議員は少数派になる。つまり、イングランドの議員がスコットランドを支配すると言える。その上、スコットランドが反対する政策を取ったことは少なくない。核兵器は大きな例であるし、社会福祉の方針もそうだ。

私も、結果は予想できない。イギリスが分裂しない方が望ましいと思うが、スコットランドは愚か、イギリスにはもう住まないので、私の意見は影響を与えないだろう。だから、結果を待って、明日反応を書くかと思う。


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