検定試験で、理解をどうやって測定できるのか。条件は二つある。
一つは、設問はすべて四者択一であること。このような設問は、機会で採点できるので、受験者が多くなっても対応できる。採点には人間の判断が必要であれば、試験が成功すれば、採点できなくなる。人材は集められないからだ。もう一つは、選択肢の一つは正解で、残っている三つは間違いであること。そして、その差は疑えないような本質の差であること。そうではないと、受験者のクレームが発生してしまう。この条件を満たしながら理解を試すのは容易ではない。だからこそ殆どの検定試験は単純に事実を暗記したかどうかを測定する。前日に述べた通り、参級ならそれはかまわないが、弐級で一部、参級で主流の設問は理解を問うべきだ。
では、どのような設問で理解を測定できるのか。形は複数あると思うので、この投稿で例示することに過ぎない。
一つは、テキストに明記されていないことについて問う設問だ。例えば、神道の歴史で様々な神道の種類を紹介するが、影響の関係を明記しないとしよう。簡単な質問は「ある神道の流派が吉田神道へ影響を与えた。下記の選択肢からそれを選びなさい。① 伊勢神道 ② 高天神道 ③ 垂加神道 ④ 国家神道」答えは明らかに①である。②は架空な神道の流派だ。③と④は双方吉田神道の後で発生した神道の流派だから、吉田神道に影響を与えたはずはない。だから、神道の歴史に詳しければ、この質問に答えられるに違いない。もう少し難しい質問は、「垂加神道に一番強い影響を与えた神道の流派はどちらですか。 ① 伊勢神道 ② 吉田神道 ③ 理当心地神道 ④復古神道」復古神道は垂加神道の後で発生した神道だから、すぐに除外できる。残りは垂加神道の前だが、理当心地神道は林羅山の儒家神道だから、その影響は一番強かったに違いない。伊勢神道も吉田神道も影響を与えたが、垂加神道は儒家神道の結晶だったと言えるので、すぐに答えられる。
つまり、このような設問で、テキストから推測できることを問う。
もう一つの形は、架空なことについて聞く。もちろん、架空であることを明記する。例えば:
「神は、仏の仮面を冠って、天竺で神楽を舞って、真実に華を添った。」この言葉は、歴史的な神道者には言われませんでした。仮に言われたら、誰が一番相応しいでしょうか。
① 斎部広成
② 吉田兼倶
③ 山崎闇斎
④ 本居宣長
答えは明らかに吉田兼倶である。神道は根と幹で、仏教は華と果実であると主張したのは、吉田神道である。そして、斎部広成は古語拾遺の選者で、神仏習合が盛んになる前の人物だ。山崎闇斎も本居宣長も、仏教を神道から払拭しようとしたので、このようなことを言うはずはない。
この形で、架空のことを選択肢に入れることもできる。「下記の四つの間、どちらが祈年祭に一番相応しい」のような問題で、祈年祭の本質を把握したかどうかは問えると思う。
もちろん、このような質問が本当に理解を試すかどうかを証明するために、実験は必要だ。その為に、國學院大學や皇学館大学で神職養成講座を受けている人に受験してもらって、そして先生の判断の理解度と照り合わせたら良い。
この五つの投稿で、神社検定をどう改善すれば良いかを論じたが、そのレベルはまだまだ初段に過ぎない。そして、先に述べた通り、公式テキストを高く評価する。私の前提は、神社検定の目標は神道の祭祀などに参加するための知識や能力を推薦することで、神道の理解はこのような活動に必要であるということだから、目標を別としたら、形は当然ちがう。しかし、私が神社検定を管理したら、この方向へ動かすと思う。