神社本庁と「女性が輝く社会」

先日、「女性が輝く社会」のための法案について報じられたが、その中で300人以上を雇う会社や法人に、数値目標を設ける義務を課すことも触れられた。神社なら、300人以上が奉仕するのは、神宮ぐらいかと思う。神宮でも、300人まで上がらない可能性は高い。だから、一見でこの法案は、神社界と関係はないと思える。

法律上、そうであるかもしれないが、事実を考えれば状況が違う。神社本庁に包括される神社は独立された法人だが、人事権は県の神社庁か神社本庁に握られている。特に、すべての神社の宮司は、神社庁によって決められるし、いわゆる別表神社(有数の神社である)の宮司や権宮司の人事は、神社本庁によって決められる。神社本庁に包括される神社に所属する神職は2万人いるので、この観点から見れば、神社本庁には女性の輝きのために数値目標を設定するべきだと言おう。

では、どのような目標は良いのだろう。別表神社は二百数十あるので、平成30年まで女性の宮司が25人いることを目標としたら良いだろう。現在、女子神職は全体の1割であると言われているので、50人などを目標としても、満たせるはずはない。そして、印象だが、別表神社の人事は、神社本庁が本格的に干与するようだ。普通の神社は、神社庁の承認は必要だが、候補には現役の宮司の推薦と総代の賛同があれば、承認するような気がする。その候補には神職の資格はまだ取得いなかったら、特別措置で最低位の直階を取得させる方法もある。だから、事実上神社本庁の影響力は弱いし、その神社の社家の後継者が宮司になることは多いので、それに数値目標で干与するべきではないだろう。一方、別表神社では神社本庁が他の神社から転職させる宮司は少なくないようだ。

そして、将来の神職も考えなければならない。國學院大學や皇學館大学で神職の養成講座を受ける学生のうち、今でも女性は3割に近いそうだ。だから、平成30年までに、神職になる学生のうち、女性の割合は30%を満たすことを目標として、同年までに新入生の女性は4割になることを目指したら良いと思う。

このような目標は、神社本庁は直接に目指すことはできない。入学の判断は大学の責任だし、新卒の神職は権禰宜として奉仕するので、人事は神社によって決まる。しかし、数値目標を設けて、神社や大学に通知すれば、影響力があると思える。國學院大學は毎年、求人する神社が女性を奉仕させない辞退を憂えるので、神社本庁の批判が加えられたら、動きは見えるのではないかと思う。宮司の3割が女性になるまで、数十年がかかると思えるが、その変遷を今始まらせるべきだと思う。

これ以外、意味のある目標は思い浮かばない。巫女さんはもう100%女子だし。


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