解散•総選挙と憲法改正

衆議院の解散•総選挙になったそうだ。先日、私はこの判断に賛同できないと書いたが、まだまだ有権者でもない私には影響力はないのは当然である。しかし、この解散を考えれば、興味深い点がある。

野党は、安倍ミックスの失敗が明らかになる前の選挙であると訴えているが、その可能性もある。もう少し優しい考え方をとれば、日本政府が影響さえ与えられない問題が発生する前の選挙だろう。中東の情勢の厳しさが日ごとに増しているし、円安が進んでいる。中東での紛争の影響で原油の価格が高騰すれば、日本の経済へ大きな打撃を与える。原子力発電所はまだ稼働していないなら、さらに大きくなる。同じように、ロシアのエネルギー資源に対する方針は透明ではないので、天然ガスの高騰も予想できる。このような出来事は不況をもたらすに違いない。日本の国内総生産の伸び率は2四半期連続でマイナス数字になっていることで、もう不況であることを指しているので、悪化する前に選挙を開いたほうが良いのではないか。4年間あれば回復できるかもしれないが、2年間はなかなか足りない。

安倍総理大臣がこのように考えている可能性は認めざるを得ないと私は思う。

(ところで、国民に増税の先送りの是非を問うのは、本当の理由にならないだろう。不況の中で国民が「ぜひ、すぐに税率を上げなさい」と言うはずはないし、来年10月の増税を掲げる政党はそもそも存在してないので、選挙で意見を表すことはできない。)

それでは、興味深い点はなんだろう。

この選挙で、与党が衆議院での3分の2の過半数を喪失すると思える。前回の選挙で、民主党への強い不満を追い風とし、大変多くの議席を獲得した。今回、もう与党になったし、景気は良くないし、政治とお金の問題も浮上したし、議席数が減ると思わざるを得ない。

解散せずに今の国会で続けば、衆議院と参議院の選挙まで2年ぐらいある。それは、憲法改正案を国会を通らせるに十分だろう。憲法改正の優先順位は最高であれば、解散するはずはないだろう。一方、3分の2は憲法改正には必要であるのは言うまでもない。野党との連携を目指すことはできるが、難航になるはずだ。

安倍さんには、このことがわかるはずだ。経験のある政治家であるし、深層の理解でもない。つまり、憲法改正が事実上無理になることに覚悟して、解散した。安倍政権が憲法改正を目指しているのは通常の話だが、この解散で、憲法改正の優先順位はそれほど高くないのが窺えるだろう。むしろ、経済の回復は安倍政権の最優先であるように見える。ちょっと驚くことに、安倍政権が表に出す目標は、本当に主な目標であるようだ。


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