道徳の伝記

道徳の教科書には伝記はよく採用されているそうだ。野口英世などの偉人を紹介して、子供に価値のある生活を描写するのは目的だと思うが、賛同できる。人生はややこしいことだから、規則などを重視する道徳教育は物足りない。人生をうまく送るために、模範は必要だろう。

しかし、その模範には多様性は重要である。日本人だけではなく、外国人でも紹介するべきだし、男性も女性も紹介するべきであるのは言うまでも無いだろう。関西人も関東人も、東北出身や九州生まれ。これは日本でも常識だあろう。少なくとも、小学生向けの伝記のシリーズを見たら、このような多様性を目指しているようだ。確かに戦国時代に活躍した女性は少ないが、見つかる。それでも、私はさらなる多様性を推進したい。

社会の規則に則って成功した人はもちろん重要だが、規則に違反して成功した人も重要だ。例えばガンジーはその典型的な例である。その伝記では、大英帝国に逆らったことを主張するべきだ。同じように、明治維新を推し進めた人は、当時の政府に逆らったことも重要だ。幕末の時代には、日本の政府は天皇ではなくて、幕府だったからだ。これは政治に限らない。化学でも、その時代の科学の恒例に従って大きく貢献した人は存在する。ニュートンはその一例だろう。一方、ダーウィンのように常識を覆す科学者も存在する。芸術でも、その時代まで展開してきた方式を優秀に実現して有名になった美術家もいるし、真新しい概念を世界に齎す作家もいる。前例に従って、次の段階へ持つ人も、前例を無視して新しい考えを導入する人も重要である。

そして、長年努力してから急に成功にあった人も、最初から脚光を浴びる人の取り組みも紹介すれば良い。普通の人生の中で一つの偉業を遂げた人も、偉業は人生の全体像である人も。小学生には若い頃に成功して、後で失敗に陥る人を紹介しないかもしれないが、少なくとも高校生にはそのパターンを知らせるべきだ。と同時に、不良な青年期を過ごした人が後で偉業を果たした例も紹介しなければならない。できれば、現在の倫理や道徳で許せない人の偉業も紹介するべきだ。例えば、奴隷の持ち主の偉業とか、人殺しが目立つ人とか、女性を軽蔑する人など。

できれば、立場が大きく違う人によって執筆された伝記は良いと思う。共産党を支持する人が大正時代の偉人を描けば、右翼の人の選択とも描写とも著しく違うと思わざるを得ない。

この狙いは、成功と貢献の多様性を紹介することだ。一概に称賛できる人ないないこと、周りの人の希望を叶えて貢献することも、希望を裏切って貢献することもあうることと、一回貢献しても後で躓く人もいることと、最初は役に立たなかったが後で大きな貢献はできた人もいること。このように、児童生徒には考えさせる。周りの人に貢献することは良いが、その方法は多種多様であることを実感すれば、自分の貢献できる道を探れる。道を与えるより、それははるかに望ましいと私は思う。


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