中年危機

英語でmid-life crisisという。特に男性が40代になったら、人生の先行きを悩む現象だ。高級スポーツカーを買ったり、浮気したりすることは典型的だろう。「俺の人生って、どういう存在?」って。

私も中年の男性だから、完全に免れるわけはない。しかし、スポーツカーには興味はないし、浮気する気もない。それに、今までの人生を振り返ると、強い不満はない。成功に終わらなかったことは十分あるが、十代の夢が叶ったこともある。具体例を挙げたら、哲学の活動が成功に終わらなかったが、二十歳前後だった頃監督したかったArs Magicaは、この十数年監督してきたし、その成果には満足している。人間の作物には完璧なものはないが、目指したことをだいたいできたと感じる。なんでもできる人間でも、すべて一生涯にできるわけはないので、経歴として良い。

だから、私の危機感の源泉はちょっと違う。考えたら、下記の分析になる。

現代、40歳ぐらいになったら、まだ働き盛りだ。それに、その状態が20年間程度続くと思っても良い。だから、人生の終わりではない。一方、残っている人生の制限は見えてくる。まだまだ何かできるが、成果を挙げようとすれば、時間を無駄にしてはいけない。つまり、どうすれば良いかは、重要な課題になってくる。

これは私の現状だ。人生を、何のために尽くすか、悩んでいる。

道徳の伝記

道徳の教科書には伝記はよく採用されているそうだ。野口英世などの偉人を紹介して、子供に価値のある生活を描写するのは目的だと思うが、賛同できる。人生はややこしいことだから、規則などを重視する道徳教育は物足りない。人生をうまく送るために、模範は必要だろう。

しかし、その模範には多様性は重要である。日本人だけではなく、外国人でも紹介するべきだし、男性も女性も紹介するべきであるのは言うまでも無いだろう。関西人も関東人も、東北出身や九州生まれ。これは日本でも常識だあろう。少なくとも、小学生向けの伝記のシリーズを見たら、このような多様性を目指しているようだ。確かに戦国時代に活躍した女性は少ないが、見つかる。それでも、私はさらなる多様性を推進したい。

社会の規則に則って成功した人はもちろん重要だが、規則に違反して成功した人も重要だ。例えばガンジーはその典型的な例である。その伝記では、大英帝国に逆らったことを主張するべきだ。同じように、明治維新を推し進めた人は、当時の政府に逆らったことも重要だ。幕末の時代には、日本の政府は天皇ではなくて、幕府だったからだ。これは政治に限らない。化学でも、その時代の科学の恒例に従って大きく貢献した人は存在する。ニュートンはその一例だろう。一方、ダーウィンのように常識を覆す科学者も存在する。芸術でも、その時代まで展開してきた方式を優秀に実現して有名になった美術家もいるし、真新しい概念を世界に齎す作家もいる。前例に従って、次の段階へ持つ人も、前例を無視して新しい考えを導入する人も重要である。

そして、長年努力してから急に成功にあった人も、最初から脚光を浴びる人の取り組みも紹介すれば良い。普通の人生の中で一つの偉業を遂げた人も、偉業は人生の全体像である人も。小学生には若い頃に成功して、後で失敗に陥る人を紹介しないかもしれないが、少なくとも高校生にはそのパターンを知らせるべきだ。と同時に、不良な青年期を過ごした人が後で偉業を果たした例も紹介しなければならない。できれば、現在の倫理や道徳で許せない人の偉業も紹介するべきだ。例えば、奴隷の持ち主の偉業とか、人殺しが目立つ人とか、女性を軽蔑する人など。

できれば、立場が大きく違う人によって執筆された伝記は良いと思う。共産党を支持する人が大正時代の偉人を描けば、右翼の人の選択とも描写とも著しく違うと思わざるを得ない。

この狙いは、成功と貢献の多様性を紹介することだ。一概に称賛できる人ないないこと、周りの人の希望を叶えて貢献することも、希望を裏切って貢献することもあうることと、一回貢献しても後で躓く人もいることと、最初は役に立たなかったが後で大きな貢献はできた人もいること。このように、児童生徒には考えさせる。周りの人に貢献することは良いが、その方法は多種多様であることを実感すれば、自分の貢献できる道を探れる。道を与えるより、それははるかに望ましいと私は思う。

解散•総選挙と憲法改正

衆議院の解散•総選挙になったそうだ。先日、私はこの判断に賛同できないと書いたが、まだまだ有権者でもない私には影響力はないのは当然である。しかし、この解散を考えれば、興味深い点がある。

野党は、安倍ミックスの失敗が明らかになる前の選挙であると訴えているが、その可能性もある。もう少し優しい考え方をとれば、日本政府が影響さえ与えられない問題が発生する前の選挙だろう。中東の情勢の厳しさが日ごとに増しているし、円安が進んでいる。中東での紛争の影響で原油の価格が高騰すれば、日本の経済へ大きな打撃を与える。原子力発電所はまだ稼働していないなら、さらに大きくなる。同じように、ロシアのエネルギー資源に対する方針は透明ではないので、天然ガスの高騰も予想できる。このような出来事は不況をもたらすに違いない。日本の国内総生産の伸び率は2四半期連続でマイナス数字になっていることで、もう不況であることを指しているので、悪化する前に選挙を開いたほうが良いのではないか。4年間あれば回復できるかもしれないが、2年間はなかなか足りない。

安倍総理大臣がこのように考えている可能性は認めざるを得ないと私は思う。

(ところで、国民に増税の先送りの是非を問うのは、本当の理由にならないだろう。不況の中で国民が「ぜひ、すぐに税率を上げなさい」と言うはずはないし、来年10月の増税を掲げる政党はそもそも存在してないので、選挙で意見を表すことはできない。)

それでは、興味深い点はなんだろう。

この選挙で、与党が衆議院での3分の2の過半数を喪失すると思える。前回の選挙で、民主党への強い不満を追い風とし、大変多くの議席を獲得した。今回、もう与党になったし、景気は良くないし、政治とお金の問題も浮上したし、議席数が減ると思わざるを得ない。

解散せずに今の国会で続けば、衆議院と参議院の選挙まで2年ぐらいある。それは、憲法改正案を国会を通らせるに十分だろう。憲法改正の優先順位は最高であれば、解散するはずはないだろう。一方、3分の2は憲法改正には必要であるのは言うまでもない。野党との連携を目指すことはできるが、難航になるはずだ。

安倍さんには、このことがわかるはずだ。経験のある政治家であるし、深層の理解でもない。つまり、憲法改正が事実上無理になることに覚悟して、解散した。安倍政権が憲法改正を目指しているのは通常の話だが、この解散で、憲法改正の優先順位はそれほど高くないのが窺えるだろう。むしろ、経済の回復は安倍政権の最優先であるように見える。ちょっと驚くことに、安倍政権が表に出す目標は、本当に主な目標であるようだ。