少数者と民主主義

社会には少数者、いわゆる「マイノリティー」、が存在する。日本の場合、外国人はその例だが、同性愛者も例になる。アメリカでの言葉遣いでは、「マイノリティー」には女性が含まれる場合は多いが、ここで、数学的に少数派である少数者について論じたいと思う。

民主主義で、少数者は問題になる。なぜなら、民主主義で多数決で多くのことを決めるからだ。多数決で決めたら、少数者は勝つことはできない。もちろん、ある意味で少数者は極めて多い。日本での日本人男性でも、半数をわずかに超える人でも、選挙で単独で勝つのは難しい。しかし、そのぐらいの人数で、選挙の結果へ影響を及ぼす。政治家は、日本人の男性の要望を完全に無視することはできないし、男性一般に明らかに不利である政策は通らないだろう。女性も同じだから、ここで女性を少数者として扱わない。(アメリカでは、女性のマイノリティーの概念に含める傾向は強いが、それは社会的な立場から考える場合である。ここは、別な視点から考えているので、結果は違う。)ここで、「少数者」は、選挙の影響にはっきりした影響を及ぼせない人数にとどまる人たちを指す。

そう考えれば、アメリカでの黒人も少数者に当たらない。2割ぐらいだから、選挙に影響を及ぼす。アメリカでそのような事実は前から認められていたので、黒人が投票しないように工夫したことは多い。今でも続いていると強調する活動家もいるが、少なくとも30年、40年前には事実だった。だからこそ、投票できるような仕組みと一票の価値を平等とするのは重要だ。しかし、それは少数者の問題ではない。少数者は、投票できるとしても、そして一票の価値は平等であるとしても、影響力はない住民である。

日本の場合、在日外国人はその例の一つである。2%程度であるので、仮に参政権を与えても、選挙に影響を与えられると思えない。しかし、日本人の間にも同じような状況にある人もいる。外国人と関連するのは、ハーフだろう。日本人だが、割合は非常に少ない。帰化した人もそうだ。外国とのつながり以外の枠組みを考えれば、障害者が浮上するだろう。そして、日本では、キリスト教徒やイスラム教徒も2%にも満たない。同性愛者の割合は、定義と調査によって異なるが、一般に5%未満であるので、それも同じである。

問題は、この少数者のニーズなどが無視される恐れがあるし、弾圧される恐れさえある。日本の国民が一般的に障害者を弾圧することにしたら、障害者の票で破れない。(ナチス・ドイツではそのような弾圧はあったので、ありえないと思えない。)だから、民主主義な国柄で、少数者の問題を構造的に解決しなければならない。次回、その解決策について論じたいのである。


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