芸能制作の監督管理

先日、北川景子さんがDIARYを更新して、仕事柄について語ってくれた。昨日掲載した短歌もこの内容に応えるように作歌したが、今回もう少し具体的に反応を述懐したいと思う。

この記事の中で、「親の死に目に会えなくても、仕事に穴をあけないと誓いなさい」との最初の事務所の社長の発言を紹介する。つまり、役者やモデルの人生にはどこまでの危機があっても、仕事を優先するべきだ、と。東日本大震災の当日に撮影があったそうだし、揺れが収まったら、撮影を再開したという。

業界の構造として、私は許せない。

確かに、役者の代わりに演じられる人はいない。本人ではないと、その人の出番の撮影はできない。しかし、制作を管理する人の役割の一つは、そのような危機が発生してもプロジェクト全体が危機に陥らないように工夫することだ。主演を担う役者の場合、撮影の途中のいつでも、役者が「何かがある。休む」と言ったら、24時間の時間を与えられないと、無責任で、実力も疑わなければならない。同じように、深夜の3時まで撮影が続くことは、北川さんのフェイスブックでのコメントの中でよく出てくる。たまにあるのは仕方がないだろうが、一つのプロジェクトで4回以上発生したら、制作側の実力が欠ける証拠であると思わざるを得ない。つまり、撮影の実際にかかる時間がわからないからそのようなことが発生する。もしかして、全てが上手くいくことを前提としてスケジュールを決めるのではないか。しかし、全てが上手くいくのは、10回に1回程度だろう。5回に1回程度と辛うじて言えるかも。その事実に覚悟して、スケジュールを立てなければならない。

もちろん、例外がある。例えば、あるロケで撮影するが、出来る時間帯は非常に限られている。日が出てから、人が出る前にとか。その場合、時間は決まっているので、別な工夫をする。撮影の順番で、後半の撮影の予定が実現されなくてもなんとか出来る計画は必要だ。

これは、ただの傍からの嘴を出すことではない。Ars Magicaを監督した10数年間、このような工夫を実現するために努力した。原稿が提出されても、問題が発掘されたら修正しなければならない。その修正には、時間がかかる。出版する予定日の前に余裕はなかったら、修正はできない。最初の本は、その余裕はまだなかったが、読んだら分かる。問題が出版まで残っていた。そして、作者にはプライベートの問題があったら、対応できるような工夫も必要だった。それを組み立てるのは、簡単ではないが、監督する人の仕事の一部であると私は信念する。

ただし、芸能界にそのような現実的な構造を導入するために、全体的に改善しねばならないだろう。テレビ会社の計画も変えてもらわないと無理だろう。例えば、原則として連続ドラマの第1話が放送されるまで、最終回の台本を書き終えるのは妥当である。できれば、第1回の撮影が始まる前にそうするべきだ。そうすれば、最終回の展開を最初から示唆したりすることはできるし、主題曲が全体に相応しくなることはできる。しかし、台本は原作に基づかない場合、そのようなことはないそうだ。撮影も、数週間先まで進まないとまずいが、かなり迫っていることもあるようだ。

必要であるのは、芸術作品を作るための環境だが、収益ばかりを見たら、それはできないだろう。業界の全体的な目的を把握しながら計画してほしいのである。

「芸能制作の監督管理」への2件のフィードバック

  1. David先輩、お疲れ様です。
    そうですね、作品製作に余裕が全部使い果たしたとこが多いですね。その場合、我等RPGゲーム業界にゲームの発売日が延期させる習慣がありますね。我等のお客様はそのやり方に慣れているので大体大丈夫です。もちろん、怒っている方々もいますが、仕方がないね。それは隙間市場の特権だと思います。
    だが、芸能界は違いますね。発売日の延期は絶対にいけません。だから余裕が使い果た場合、制作スタッフ(俳優さんたちだけじゃなくて)皆で毎日夜遅くもで一所懸命働けなければならないみたいことですね。確かに、危機に陥らないように十分余裕がある計画を作るのは担当者の責任ですが、それは不可能ぐらい難しいのは私たちはよく分かるでしょう。計画は崩れてしまう。人生です。公平であると思わないほうがいいです。だから結局、制作スタッフはタフにならなければならないかもしれません。
    ても、「仕事に穴をあけないで」というセリフはダメですね。やり過ぎるからです。きっと実勢に例外が多いと思います。でも、景子ちゃんの侍性格を考えると、彼女は本気でこのセリフを守って、後は後悔して、少し心配します・・・

  2. Christianさん、こんにちは。コメントをありがとうございます。

    計画を守るのは無理ではありません。この5、6年間、時間通りに原稿をAtlasに必ず渡しました。その原稿の内容が元々の予定と異なる場合もありましたが、出版には穴が空きませんでした。もちろん、危機が生じるが、夜遅くまで働くことは常時の状態であれば、制度には問題があると思わざるを得ません。最終責任はもしかして制作会社の社長やテレビ局の会長にあるかもしれませんが、それでも改善策は取って欲しいのです。俳優は、努力の報いとしてファンを得られますので、裏のスタッフの方が心配です。

    このような問題について、「仕方ない」と言わない方がいいと思います。

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