イギリスの総選挙

昨日、イギリスの総選挙の結果は発表された。驚いた結果だった。選挙前の世論調査から推測すれば、単独過半数を獲得する政党はないと思われたが、結局保守党がかろうじて単独過半数を獲得した。国会では、大きな変更があった。先の連立政権に参加した自由民主党は、47の議席を失って、8議席に墜落した。野党の労働党は、20余の議席を失ったので、まだ第二党であるものの、明らかに少数派になっている。

しかし、一番大きな打撃は、スコットランド民族党が56議席を獲得したことだ。なぜそうだろう。労働党の議席数の4分の1にとどまるのに。その理由は、スコットランド民族党は、スコットランドにのみ候補者を擁立したが、スコットランドの総合議席数は59議席である。つまり、スコットランドの議席の95%を獲得した。

政治的には、スコットランド民族党の影響力が大きくなっている。保守党は単独過半数を占めたとはいえ、ギリギリだから、政権はちょっと不安定になっている。その状態であれば、56議席を持つ党の影響を感じる場合は少なくないだろう。そして、忘れてはならないことは、スコットランドの議会で、スコットランド民族党は単独過半数を占めていることだ。つまり、スコットランドの住民が選んだ政党は、明らかにスコットランド民族党以外ほかならない。だから、ロンドンの国会がスコットランド民族党の要望を無視すれば、「スコットランドへ力を及ぼす根拠は何?」と問われるにちがいない。イギリスの国家構成はこうであるという説明は法律抗議できないだろうが、気持ちの問題ではそのような法律の詳細に基づく議論には説得力はない。スコットランドとイングランドのこれからの関係の視察するべきだろう。

もう一つの問題は、議席数と投票数の関係だ。スコットランド民族党は、スコットランドで票の半数程度を獲得した。それでも、議席の95%を獲得した。その理由は、イギリスは純粋小選挙区制度である。スコットランドの全ての選挙区には、スコットランド民族党が票の半数程度を獲得したので、いつも一番の党になった。だから、有権者の半分程度が指示した結果、議席の95%を獲得した。これは、純粋所選挙区制度の理論的な問題を表すための架空な例だったが、今実例がある。一方、グリーン党はスコットランド民族党とほぼ同数の票を獲得した。スコットランド民族党は150万票程度で、グリーン党は120万票程度だ。20%の差である。しかし、グリーン党は一つの議席しか獲得しなかった。グリーン党の支持層は、一つの地域に集中していないからだ。されに顕著な例がある。イギリス独立党は、400万票程度を獲得したが、この政党も一つの議席しか取れなかった。獲得した票は2.5倍で、獲得した議席数は56分の1。これで、選挙制度の問題が浮き彫りとなった。保守党は改善したくないと思うが、改善を促す圧力が強くなるのではないかと思う。

新政権の政策といえば、ヨーロッパ連合からの離脱は恐るし、事件保護法の撤廃も見込まれているし、格差がさらに深刻になるのはほぼ確実だ。個人的に、日本に来てよかった、帰化できるといいなという反応だ。しかし、将来は誰も知らないので、イギリスの行方は見極めたいと思う。


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