気温の極端の変動

今回紹介する研究論文は、気候学の分野で気候変動とともに気温の極端がどう変わるかを検討する研究だ(日本語要約)。いつもの様に、Natureに記載された紹介する記事日本語要約)に基づいて紹介する。

気候変動に伴って、地球は全体的に温かくなる。それは確実だが、気温の変化の詳細はまだ解明されていない。例えば、この二週間で日本の気温が大きく変わった。そのような変更の詳細を詳しく予測するのは不可能であるが、極端的な気温の頻度や程度を予測することはある程度できる。いつ起こるかは予測できないが、10年に1回か、30年に1回かのような予測は可能である。

しかし、可能と言っても、容易ではない。大気の動きによって大きく左右されるからだ。NHKの天気予報で、「温かく湿った空気の上に寒気が流れ込むために大気の状態が不安定になっている」と聞こえるが、そのような流れや絡み合うは、気温の極端に強い影響を与える。今回の研究は、この大気循環パターンの発生を検討し、気温の極端への影響を測った。

こうするために、まず衛星データをもとに大気循環を解明した。そして、気温のデータも参照した。これで、1979年以降のデータしか見えないが、衛星データで大気循環を確実に把握できるので、結果の信憑性が高くなる。循環データと気温データに基づいて、極端の気温の変動を、大気循環の変動に伴うものとそうではないものに大別できた。このような分け方によって、大気循環の影響が明白になる。

このデータを見ると、ほとんどの地域では夏の最高気温が1979年以降上がったことが分かる。その半分に当たる北米東部、ヨーロッパ、そしてアジア西部には、大気循環の変化の影響は強いそうだ。大陸の上の循環は、そとから流れ込んでくる寒気を塞がるので、気温が上がっていくからだ。このような循環が地球温暖化と重なると、猛暑日が増えて、旱魃や熱中症の被害が広がると思われる。

このように地球温暖化とともに天気が熱くなる現象は予想しやすいだろう。しかし、それだけではない。アジア中部の冬の気温が極端に寒くなったこともある。それは、大気循環が北極圏の寒気を流れ込んで、アジアに南下するからだそうだ。そして、このような大気循環の変動の原因は、北極圏の氷の解凍であるようだ。つまり、地球温暖化が寒冬の要因となっている。

気候変動が起こりつつあることは疑えない。そして、大きな原因の人間の温室効果ガスの排出であることも疑えない。しかし、気候は地域ごとにどうなるかは、まだまだ不明である。これは、対策を急ぐ理由となるべきだろう。


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ: