神の祭

ちょっと前に、祭の目的について書いた。それは、大別したら、御祭神のための祭と氏子崇敬者のための祭だった。前にも触れたが、氏子崇敬者の生活の基盤の多様化に伴い、氏子が共有する祭祀のきっかけが減った。昔は、稲作と関係する祭祀はそうであったが、現在は違う。農業離れは進んだので、それは良いか悪いかを別として、神社では多様性を認めなければならないだろう。

それでも、神社には年中行事の祭の循環は必要だと感じられる。そのために、御祭神のための祭は良いのではないかと思ってきた。つまり、氏子崇敬者の利益に触れずに、単純に御祭神のための祭にする。

さらに考えれば、神道の祭祀は元々夜中に執り行われたそうだが、最近それは遷座祭などの特別な祭祀に限られる。なぜなら、夜間の祭祀は一般の人は参加しにくいからだろう。しかし、御祭神のための祭であれば、神職しか参加しなくても良かろう。だから、御祭神のための祭を夜に執り行うのは良いと思う。普通は、日没ととも始めるのは良いかもしれない。神職の負担にも配慮しなければならないからだ。日没はそれほど遅くないので、昼に起きている普通の生活はまだ可能である。氏子崇敬者と対応するためにそれは重要だから、可能としなければならないだろう。

そして、今のところ、毎日の朝拝は恒例であるそうだ。これは御祭神のための祭の良い例になるが、日没直後に移せば、毎日の祭になる。そして、翌朝の日の出とともに終わるように対となる祭祀も執り行っても良い。これは、毎日の祭だから、小祭として位置づけられる。

では、中祭も必要である。それは、毎月行っても良い。実は、月に2回行ったほうが良いのではないかと思う。なぜかというと、理由は二つある。一つは、月次祭を月に2回執り行う伝統があるからだ。もう一つは、そうすれば中祭は小祭の10分の1になるからだ。それは適切な割合と思われる。その上、もちろん大祭も必要となる。

大祭は、神社の例大祭は一番相応しい。最近、例大祭の祭日を伝統の日にちからそれに近い日曜日に移す傾向は強いと言われる。それは、平日の祭には一般の人は参加できないからだ。しかし、縁日と離れた祭はちょっと物足りないと感じる人もいるし、伝統を維持すべきであるのではないかと思う人もいるようだ。ただし、このように御祭神のための祭を導入すれば、問題はなくなる。御祭神のための例大祭は、縁日の夜に執り行う。(昔の1日は、日没から始まったそうだから、今の計算で縁日の前夜になる。)そして、その例大祭の前後の祭日に、氏子崇敬者のための祭も執り行う。渡御や屋台の祭は、昼間に行う。(ところで、前か後かは、考え方によってだろう。渡御などで神様の威力が増すとの考え方があるので、それに従えば例大祭の前に行うべきだ。一方、渡御などで神様の利益を氏子区域に蒔くという考え方もある。その場合、例大祭の後に行うべきだろう。)

ただし、大祭を年に一回執り行えば、中祭の20分の1にとどまる。やはり、10分の1の割合を保つために、もう一つを入れたほうが良かろう。伊勢の神宮では例大祭に相当する神嘗祭と二つの月次祭があるので、三つだが、三つでも良い。しかし、その詳細はやはり神社によって決まったほうが良い。

確かに、こう考えれば、「御祭神のための祭の内容はなんだろう?」との疑問が浮かび上がるが、それは後ほど考えたいと思う。