広島県の避難所

先日、広島県の災害時の避難所についての報道があった。去年の土砂災害を受けて、土砂災害警戒区域を検討したそうだが、その結果24箇所の避難所は、土砂災害の場合の安全は保障できないことを判明して、避難所指定の解除手続きに着手したそうだ。これは適切なことだと言える。

しかし、追加の報道によると、洪水などの他の災害時には、まだまだ避難所として使うそうだ。

それは大きな間違いだと思わざるを得ない。

なぜかというと、避難する時はそもそも落ち着いて行動する時期ではない。もちろん、理想は落ち着いて焦らずに避難することだし、住民の一部はそうするだろうが、慌てて避難するは少なくないことは決まっている。慌てて避難すれば、近所の避難所に向かう。「今の災害はなんだったっけ?この災害は、いつもと違う避難所だったっけ?どこに行ったらよかったかな?」とさえ思う人は少ないだろう。だから、慣れてきた前からあった避難所に向かう人は多いと予想できる。その避難所には紙を貼って、別な避難所へ案内することは確かにできるが、大雨の中で方向を改めることなどは、さらに混乱を招くと予想できる。

そして、この変更を知らせる措置はどうすれば良かろうか。川崎市で外国人市民の意識調査で、代表者会議のことを「知っている」か「聞いたことがあるがよく知らない」と答えた人は、51%に止まった。しかし、すべての川崎市に住む外国人には、2回にわたって郵送で代表者会議についての案内を送ったことはなる。(それは、応募を促すためだった。)つまり、広島県がすべての対象となる世帯に2回お知らせを送ったら、50%ぐらいが避難所の変更を把握すると予想できる、そのお知らせの内容は「土砂災害の場合はこちら、その他はあちら」のようなややこしい内容であれば、代表者会議について「知っている」と答えた20%が理解するだろう。

近所に避難所案内板を設けるのは良いが、これもややこしかったら効果が低迷すると予想できる。

要するに、まず避難所を1箇所にまとめるべきであると思う。災害はなんであっても、同じ場所へ避難することを促すべきだ。そして、情報伝達に力を注ぐべきだ。代表者会議は確かにわかると良いが、わからなくても、生活に大きな影響はない。しかし、避難所の場所は死活問題だ。わかってもらうまで情報を発信する義務があると思う。そのために、思うより回数が必要であれば、それは現実だ。「多くの人は県からの手紙をちゃんと読まないので、死んでも良い」とは到底言えない。

確かにこれは簡単ではないがだろうが、必要だ。もしかして、この検討はもう広島県で始まっているが、そのようなことはニュースに報道されない。しかし、川崎市の委員会で実感したのは、行政がただ施策を実施することで問題が解決されるという考え方は、大きな間違いである。


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