長期的な他国援助

他国の援助の主な目的は、危機の未然防止であるべきと前にも述べたが、今回その点についてもう少し具体的に論じたいと思う。

危機が発生する理由は様々であるが、発生する社会の状況によって、影響は大きく異なる。例えば、先日栃木県の大雨で大きな被害がもたらされたが、日本は自力で対応できる。特に国際的な援助は必要ない。珍しいことに、行方不明者の無事は確認されたし、避難所は確保されているし、水道などは数週間以内復旧する見込みだそうだ。災害であることは明らかだし、犠牲者も出ているので軽視すべきではないが、他の国にとって関与する義務を感じるは全くない。しかし、同じような災害が発展途上国で発生したら、国際社会の援助が必要となることは多い。当国の力は足りないからだ。

だから、長期的な援助の目的は、当国の力を増すことだ。この場合、「力」というのは、軍事力ではないのは言うまでもないだろう。むしろ、国内のインフラや生産力が主な要素となる。インフラは整備されていれば、国内の危機に対応するために人材も物資も移動できるし、インフラを利用して被害を軽減できることもある。例えば、洪水の場合、ヘリを使って人を助けたりしたが、携帯電話も孤立になった人の発見につながったようだ。そして、生産力があるので、破壊されたものを保険金で補うことはできる。生産力はないと、対応するために何もできないことは多い。

そして、この二つを重視すれば、どの国でも賛同するだろう。政治的な改善を求めたら、国内への関与を批判するところは多いが、発展途上国で水道や道路、送電線などの整備や生産業や農業の向上に貢献する援助を拒否するところは少ないだろう。確かに、その改善は持続可能であることを確保するために当事者の責任を呼びださなければならないので、全て中央政府で決めようとする国では問題になるが、そのような例は少ない。中国さえ例にならない。

つまり、日本の国際援助の基本方針は間違っていないと思う。その実施方について専門家の意見を集めて、より効果のある方法を常に探るのは外務省の職務の一つであると言えるが、目的は良いとしよう。その上、相手国のインフラ向上には日本の企業が関わっても問題はないと思う。双方の利益になる連携は最善である。それは、援助される国だけではない、援助する国も利益を得ることとなる。もちろん、バランスを考えなければならないが、それも詳細の問題だ。

相手国の援助の終わりで、相手国が経済力を持って、貿易を行う状態だ。製品を輸出したり輸入したりする。つまり、日本とアメリカとの関係のような状態を目指す。自国の企業の競争相手を養うが、国家としてそれは良いことだ。競争相手は取引先にもなるし、貿易の相手にもなるからだ。


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