先日、ある神社の社報誌で山の神様についての記事を読んだ。この記事によると、山自体だけではなく、山から発生する水源も信仰の対象になっていたそうだ。そして、鎮守の杜を思い出せば、神社と山林の関係は密接であることはすぐにわかるだろう。
しかし、この関係を生かす活動はほぼ目に当たらない。例外は伊勢の神宮で、式年遷宮のための木材を神宮林から賄えるように100年前から続いていきた計画である。この林業計画は、檜を培うことは多いが、原生林を保護することもある。そして、原生林を考えれば、春日大社の御蓋山と大神神社の三輪山が思い浮かぶ。その場合、計画というより、手を出さないことにしているような印象だ。
これで、活動が目に当たらない原因は、報道されていないことにすぎない可能性に気付くだろう。他の神社も鎮守の杜を持っているし、大規模な神社であれば、その鎮守の杜も大きな山林になるのではないかと思える。それでも、存在するとしても、神社本庁などが報道しない。(この5年間、『神社新報』を読んできたので、報道されたら、読んだに違いない。)この状態は残念に思う。神社の鎮守の杜を守る活動をより広く広報したら、神社と環境の関係を強調できるようになる。
その上、神社間の活動として、神社の周りに存在する普通の山林の維持や改善に貢献する活動はいかがだろうか。私が知っている限り、現在の山林には問題がある。担い手は少なくなって、手放しになっている私有林は多いようだ。そして、戦後の杉の栽培で山林が杉ばかりになってきたので、生態系は狂っているし、花粉の問題が深刻になってきた。水源にも影響を与えるし、野生動物を農場へ追い出すとも言われる。(杉の森では、食料は足りないからだという。)特に、山の神様を祀る神社は、例えば日枝神社などは、山林の支援などを共同計画にしたら適切なのではないかと思う。
確かに、これは私の専門と縁はない分野だから、具体的な提案は全くない。そして、地元の状況に合わせた計画ではないと何もできない。神社の場合、ある神社が山林の所有者である氏子と連携して動くのは最適だと思うが、もしかしてそのような神社は兼務社で、宮司は遠いところに住んでいることは多いだろう。同じように、経済力や人材力を持つ神社は、改善できる山林に近く鎮座する神社と違うかもしれない。だから、県境を越えて神社の結びを作る必要はあるだろう。災害時の対策を強化するためにそのような動きはもう始まっているので、他の分野でもできるのではないかと思うが、山林のように神道の歴史と本質と深く結びついている分野は少ないと思うので、できればこのようなことについて考えたいと思う。ただし、私の適切な神社とのつながりはまだまだ薄いね。