先日、自民党の『豊かな農山漁村をつくる』という小冊子を読んだ。この政策には15本の矢があって、100ぐらいの具体策があるという。
小冊子を読んでも、自民党の農業政策ははっきり把握していない。確かに、その原因の一部は、私は農業と縁はないことだ。例えば、「担い手利用面積8割計画」という矢の紹介を読んでも、内容はさっぱり分からない。(ちょっと説明を読めば、これは農場の規模の拡大の政策なのではないかと思うが、自身はもっていない。)しかし、それだけではない。
15本の矢には、自給率についての矢もあるし、米の需要の増加と関係する矢もあるし、作物の多様性を示唆する矢も、農業の効率化や高収益かの矢も、持続可能の環境関係の矢も。これは全て重要であるのは否めないが、「全てやる!」というだけで、ビジョンなどはない。正直に言えば、バラマキの印象は強い。ただ単に農山漁村で求められている要求の全てを載せて、票を集めようとしている印象が残る。
そして、矛盾する矢もある。地域の特性を活かしてやることもあるが、大規模化は特性を抑制する傾向があるし、一般的な飼料米の生産を促すことも、地域の特性を無視するのではないか。このような矛盾は、現実問題と取り組めば不可避であるので、矛盾自体を批判しない。ただし、方針を実現しようとすると、この矛盾を解決しなければならない。その場合こそ、ビジョンは必要となる。日本の農業のビジョンは自給率を向上することだったら、地域の特性がなくなることは仕方がないと思う。もちろん、最大限保護しようとするが、自給率のために犠牲となっても、惜しまない方針だ。一方、地域の特性を維持しようとすれば、自給率の低迷を認めなければならない場合もある。
優先順位を決めることもあるが、それだけではない。何を目指しているかを決めないと、努力が無駄になることは多い。もしかして、政府の場合、具体的に決めるべきではないだろう。むしろ、地域の農山漁村の方針を応援したり支援したりした方が良いのではないか。それでも、中央政府のビジョンは、農山漁村の多様性になるし、どの程度資金支援を給付するか、それほど人材を派遣するか、規則で地域の発展をどう制限するかも決めなければならない。規則で原則として自由にするが、自給率を向上させる行動にしか資金支援を出さないと決めたら、特産品の開発に技術面も資金面も支援を提供する方針とかなり違う。
つまり、この小冊子を読んだら、そのパンフレットを作成した時点で自民党はまだ農山漁村の政策を決めていなかったと言おう。