一票の格差

国政選挙で一票の格差が叫ばれて久しい。国会では対策の法令を立法して、参議院選挙で島根県と鳥取県が一つの選挙区になるなどの変更があった。その目標は、格差を3倍以下に抑えることであるそうだ。それでも、地方の声がちゃんと中央政府に届かないと訴えて、改正に反対する意見も聞こえる。

この問題を、比例代表の視点から論じたいと思う。

日本の政治を見れば、女性と若者の声が十分反映されるとは到底思えない。女性の場合、女性の政治家は明らかな少数派であるし、女性の問題を真摯に取り上げることも少ない。若者の場合、年金問題は若者の負担の立場からそれほど論じられないことは代表的だが、投票する若者も少ないようだ。定年退職した人が投票を積極的に行う傾向は世界中の民主主義国で見られるそうだ。

このような問題を解消するために、衆参両院選挙で若者(つまり、40歳未満の方)と女性にもう一票を与えたら如何だろうか。若い女性には合計三票になるので、私のような年寄りの男性と比べたら3倍になる。その3倍は、選挙区の場合許される格差であるので、根本的な問題はないだろう。そして、鳥取県に住むから特別な権利を持つと主張する人はいないし、ただ単にその声がはっきり届くための措置として、選挙区の各歳を解消すべきではないと強調する。若い女性の三票の措置は、どう違うか?

確かに、若者と女性は、人口を全体的に見ればそれほど少数派ではない。(若者はちょっと少ないけれども。)一方、大都会に住まない日本人は明らかに少数派である。では、少数派を考えたら如何だろうか。障害者に後一票を与えたら、障害者の問題が重視されるようになると思われるだろう。その上、障害者の問題は見逃される傾向は強いので、実存する問題との取り組みであることは否めない。

それでも、比例代表の選挙に上乗せの票を与える方法は、民主主義の原理に違反するような気がするのは私だけだろうか。代表者会議のような措置か、当事者の意見を掬い上げる装置を導入した方が良いのではないかと思うのは当然だろう。

しかし、そうであれば、地域ごとの一票の格差は同じである。むしろ、住む地域を変えることはできるが、障碍を解消することは原則として無理である。つまり、障碍者に特権を与える根拠の方が強いと言わざるを得ない。

つまり、地方の声が中央に届かない問題は現実の問題であるが、一票の格差を解決策として認められない。その代わりに、例えば県議会に中央政府に提言する権利を与えることなど、民主主義の枠を砕けない措置を発明した方が良いと私は思う。


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