細菌の目

今回の紹介する研究は細菌の目の様な部分についての研究日本語要約)で、日本人の研究者も関わっている。(国立遺伝学研究所の研究者だ。)いつもと同様に、Natureに載った紹介記事日本語要約)に基づいて紹介する。

細菌には、細胞は一つしかないのは周知の通りだろう。一方、哺乳類の目には細胞は多い。細胞ではない部分もあるが、主に細胞で作られている。だから、細菌には哺乳類のような目が存在するはずはない。それでも、細菌が光に反応して動くことはある。反応するために、細胞の中に光に敏感な機関は必要になる。全ての細菌にはあるわけはないが、例は極めて稀であるとも言えない。

この研究は、渦鞭毛藻類ワルノヴィア科という細菌の種類の眼点構造についてである。この眼点構造は、特に複雑な構造を持っている。この構造には、角膜に相当する部分も、レンズに相当する部分も、虹彩に相当する部分も、そして網膜に相当する部分もある。つまり、カメラの様な、若しくは人間の目のような構造になっている。その存在は、前から知られたようだが、今回の研究は重要な問題を検討した。つまり、この眼点構造は、どうやって作られているのか、という問題だ。

その結果は、角膜はミトコンドリアからでき、網膜は色素体からできた。すなわち、細胞小器官からできている。もちろん、普通のミトコンドリアは角膜に似ていないので、進化の過程で大きく変貌したと言えるが、単細胞の生物にもこれほど複雑な構造ができていることは素晴らしく思う。

その上、ミトコンドリアや色素体は、細胞小器官であるが、もともと独立していた細胞だった。数億年前に、この細胞が他の細胞の中で棲息するようになったが、遺伝子の一部はもうその大きな細胞のゲノムに移ったので、もう細胞の一部であるのは間違いない。ほとんどの細胞で、ミトコンドリアはエネルギー資源になるし、色素体は光合成に働くが、この眼点構造で細胞によって複数の昨日に使用されていることは明らかになっている。

この渦鞭毛藻は海に棲んでいる生物で、実験室で繁殖することには、今までの成功例はないそうだから、行動などは良く把握されていないそうだ。そのため、この眼点構造の昨日もよく理解されていないようだ。ただし、重要な役割を担うのは間違いないだろう。これほど複雑な構造を作り上げるために、エネルギーなどは必要だから、役割は些細であれば、進化で失うはずだ。ただし、この単細胞生物はなぜこれほど複雑な目を必要とするかは、私の想像もつかない。